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Birth

今まで私は自分に起きる出来事を写真として制作してきた。

これは、ここ一年の私に起きた出来事の記録である。

 

2024年5月11日。

1660グラムの低体重児で子供が生まれた。

私たちは正直なところ親になるとは思ってなかったしその覚悟もなかった。

生まれてきた赤子は私の両掌に収まる位の大きさで、ほんとに触ると壊れてしまいそうだった。

生まれてくるまでと生まれてからはずっと不安だったけど、世界の見え方は少し変わったように思う。

きっと、前より些細なことが綺麗に見えるようになったのかもしれない。

 

僕は頭の中にオフコースの「言葉にできない」が流れるような写真は撮れないけど、

自分なりの写真で子供と言うものを理解していきたいと思う。

まだ不安は尽きないけど、生まれてきてくれてありがとう。

そして産んでくれてありがとう。

 

(紺田達也)

金柑画廊は、2月15日(土)から3月9日(日)まで、紺田達也写真展「Birth」を開催いたします。
紺田はこれまで、私写真を軸に「写真をする」という行為を探求しながら、作品を制作してきました。ダッチワイフとのセルフポートレートや自身の性衝動、パートナーとの関係性を記録したシリーズ「I want your Love.」など、紺田が私写真に正面から向き合い、写真表現を模索し続ける姿勢がそこから浮かび上がってきます。

本展“Birth”では、紺田が父となり、子どもの誕生を迎えて変化していく自身と家族の様、時間や関係性などが写真に記録され写し出されていきます。このシリーズは、一枚と二枚組の写真作品で構成されており、写真が対となりそれぞれのイメージが並ぶことで、対比や類似、変容、不確かさが浮かび上がります。これらは、紺田が「写真をする」という行為を通じて模索する試みでもあります。私と公、日常と非日常の境界線は曖昧で、集団は個々の集合体でもあり、日常の積み重ねも非日常を行き来する。彼の写真を眺めていると、今という時間も、私たちの存在も、不確かで曖昧ながらも暖かくいとおしいのだと、なぜだか諦めにも似た受容の感情がよぎります。この機会にぜひご高覧ください。

 

(太田京子/金柑画廊)

​2025  Tatsuya Konda

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